グローブ・ジャングル

2009年3月27〜29日。
東京都北区にて。
劇団5本指ソックス第4回公演 「グローブ・ジャングル」を興業。

ずっと待っていた。
また来るとも知れないこの機会を。
自分がいつまで劇ができるか全く分からないし、ともすれば前回が最後になるかとも思っていた。
だから第4回公演を行うことを聞かされ、ワタシにスタッフとしてお声がかかった時のうれしさといったら!

今回の公演は、ワタシにとって非常に大きなものになった。

何より驚いたのは、家族が理解を示してくれたこと。
実は高校の演劇部に入った時点から、両親はあまりいい顔をしていなかった。
随分長い間、ワタシは作家になりたいと言い続けてきたので、「演劇部」という選択は意外なものだったらしい。
「演劇なんかやらないで、その時間でいろんなものを書いてみるべきだ」と言われた。
結局、高校3年間ずっとこの事は言われ続けた。
演劇の世界はフィジカルな世界。
そこでワタシが生きていくのは厳しい。
ならばモノカキの方がいくらか可能性があるだろう、という親心だったと思う。
その考えを変えたのは、やはり去年の入院だろう。
ワタシ自身は昏睡状態だったので全く覚えていないけれど、錯乱状態の中でワタシはずっと演劇をやろうとしていたらしい。
両親が思うより、自分自身で思っていたより、ワタシは演劇が好きだったみたい。
その気持ちが両親を動かしたようで、今までは「勝手にしなさい!」「勝手にします!」といった感じだったが、今回はたくさん協力してくれた。
おかげで予想よりはるかにいい条件で公演に携わることができた。
そしてそれ以上に、精神的に助かった。
悪いことをしているわけではないにしろ、心配をかけているのは確かだったので、少なからず後ろめたいような気分があったのだ。

このように両親の理解が得られたのも、人に恵まれたおかげだと思う。
はじめましての方々にも出会うことができたし、本当に大好きになれた。
お久しぶりの方々のことも、今まで以上に大好きになった。

今回は高校3年生の夏以来、部活以外の場で初めて音響を担当することとなって、何もかもが探り探りだった。
演出家がいる状態で音響を考えたことがなかったので、どうしたものか、ずっと考えていた。
「郷に入っては郷に従え。今回は5本指のやりかたに乗っかってみよう」
「劇は演出家の作品だと思って、なるだけ演出家の感性に近づかねば」
とりあえずここまで考えて飛び込んだものの、結果として多大なご迷惑をおかけしてしまった。
本当に今回の公演では、自分の知識不足・能力不足を感じた。
「おまえは何ならできるのか」と問われ続けている気がして、練習に顔を出すのが心苦しかったりもした。
思っていること・考えていることがきちんと伝わらなくて、自分のコミュニケーション能力の低さも痛感した。
演出家の感性に近づくために、極力自分の感性は度外視しようと思いすぎて、自分を外に置きすぎた感がある。
逆に、妙なところで介入してしまったり。
使えない音響担当過ぎて、準備期間中はいつ三行半を渡されるだろうと、内心ビクビクしていた。
次はないかな、と思っていたから、「たぶん次回もよろしく」と言われた時は、ホッとしてしまった。
温かく見守っていただけていることがわかったので、また頑張っていけそうな気がする。
今回の公演は大成功だったけれど、ワタシに残された課題は莫大だ。

卒業公演的なニュアンスの強い今公演。
ようやっと落ち着いてきたが、終えた直後からしばらくは寂しくて仕方がなかった。
ずっと一緒だったメンバーとパタッと顔を合わせなくなり、各々が各々の道へ。
新しい世界に飛びこんだ人も多い。
それは当然だし、喜ばしいことだ。
でも、そのまま疎遠になっていくような予感もした。
今回のメンバーを結び付けていたのは、やはり今回の公演だったから。
ここで会ったのも何かの縁。
細々とでいいから、どこかしらでちょっと繋がりを持ち続けられたらいいな、と強く願う。

ワタシがいつまで演劇ができるかは、正直なところわからない。
もしかしたら、これが最後になる可能性もある。
ただ、今公演が最後だとしても、悔いはない。

あぁ、本当に本当に楽しかった!

今回の公演に携われてよかった。
誰より「ありがとう」と言う機会の多いこの人生の、全部の「ありがとう」を費やしてもいい。
この機に、ワタシに出来る最大限の感謝を。
そして、できることなら、またの機会を。


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