文学部

就職試験などで聞かれる、なんで文学部を選んだの?という質問。
もちろん、ワタシなりの理由はあるのだけど、なかなか公の場では正直に答えにくい。
なんで、と聞かれたら本当はこう言いたいのだ。
「人間が好きになりたいから、です。」

文学に限らず、あらゆる芸術作品は、浮世に美しい形を与えたものだと思っている。
芸術とは、なんて偉そうに言える立場にはないけれど、ワタシにとって、あらゆる芸術作品はそういう存在なのである。

人間が大嫌いだった時期がある。
だから、早く死にたかった。
それが嫌なものから逃れる一番の方法だと思っていたから。
今思えば子どもの考える事なんだけれど。
そんなワタシを救ってくれたのが演劇だった。
TVで情報を得て、初めて自分から舞台を観たいと言い、親に頼みこんで連れて行ってもらった2001年の冬。
その時の衝撃が忘れられない。
生きている人間ってなんて輝かしいんだろう!!!!
今まで感じた事のない様な、圧倒的なエネルギー量だった。
演劇の虜になった瞬間である。

こうしてワタシは演劇にのめりこんでいったのだが、演劇を好きになってから、格段に他にも好きなものが増えていった。
同時に生きているのがどんどん楽しくなっていった。
演劇を通して、ものの楽しみ方を学んだなと思う。
楽しいは繋がっていくのだ。
劇団新感線の舞台に出会って、メタルロックに興味を持った。
鴻上尚史さんの作品に出会って、ブルーハーツが好きになった。
今挙げた2つの例は演劇から音楽に繋がるものだが、これは他にも通ずるのではないだろうか。
ワタシが源氏物語と出会ったのは、大和和紀さんの漫画『あさきゆめみし』がきっかけだった。

大学で源氏物語を扱っているが、掘れば掘るほどいろんなものが出てくるのが面白い。
作品に関していろんなことを考えている人がいるのも面白い。
浮世を美しくするためにこんな手法があるのかと、発見するたびに人間が好きになる。
そして、それを追求しようとする人たちに愛しさを感じる。

わからない人には絶対わからないであろうこの価値感。
今ワタシはこの価値観を大事にしたまま生きていける場所を模索している。
………ダメ人間には違いないけど。

(2010.3.4)
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